テクテク日記

テクテク=テクノロジー&一歩ずつ(テクテク)

Power BIとは

本ブログはPower Query及びData Model / DAXを紹介するものですが、これらのテクノロジーを活用するためにはクライアント(ツール)が必要となります。いわゆるBIツールがこれに当たりますが、Power BI DesktopやExcelを使うことになります。今回はPower BI Desktop(以降「Power BI」)の特徴及びBI業界等について紹介していきたいと思います。

Power BIとは 

Power BIは2015年に登場したMicrosoft社のセルフサービスBI*1ツールです。ユーザーはPower BIを使って、データの取得・変換・ロード(ETL)を行い、データモデルを構築し、DAXでメジャー(計算式)を定義します。

ETLはPower BIの標準機能であるPower Queryを使いますが、その機能は非常に優れており、本ブログでも多くの機能を紹介しています。データモデルとは、”リレーションシップで紐づけられたテーブルの集まり”であり、DAXとは”データモデルを基にビジネス上の数式を計算するためにデザインされた定義式(ポータブル関数)”になります。

中でもDAX(Data Analysis eXpression)はPower BIやMicrosoft Analysis Service*2ExcelのPower Pivotの言語であり、2010年にExcelに登場したのがきっかけで、Excel 2013で本格的に導入され、現在に至ります。

Power BIは大きく分けて、Power Query、データモデル、DAXの3つのテクノロジーによって集約されますが、

Power BI(Desktopクライアント)で開発し、Power BI Service(クラウド)へレポートを発行、共有していく

というプロセスになります。

Power BIの特徴

以下はPower BIの特徴となります。一説によると、Microsoft社内でメールクライアント以上にPower BIが活用されているというが、真相は果たして・・・

  • Microsoft(MS)社が開発したBIツール
  • 米国Fortune 500社の97%に採用
  • ガートナー社によるBIベンダーランキングで業界No1
  • データ集計(Power Query)、モデリング(データモデル)、可視化に強い
  • 大量データ(兆単位の行数)を処理可能
  • Excelの弱点(分析機能、共有機能、操作性、格納可能データ量等)をカバー
  • Mode 2(セルフサービスBI)はMode 1(エンタープライズBI)の機能を伝承

Microsoftが業界No1のBIベンダーであることは、下記ガートナー社が毎年実施ている「Magic Quadrant for Analytics and BI Platforms」より確認できます。

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こちらはガートナー社が年に1回発表している業界構図ですが、2021年2月の発表を見ると、Microsoft(Power BI)が圧倒的なマーケット・ポジションを獲得していることが分かります。ガートナー社の基準に基づき、横軸を先見性(Completeness of Vision)、縦軸を実行力(Ability to Execute)とし、計4つのセグメントに分解しています。

まとめてみると、

左下:「実行力小、先見性小」→ ニッチプレイヤー

右下:「実行力小、先見性大」→ 先見者

左上:「実行力大、先見性小」→ チャレンジャー

右上:「実行力大、先見性大」→ 業界リーダー

となります。

ガートナー社が評価基準とする項目を毎年、Microsoftがクリアしていることが業界リーダーとして選ばれ続けている要因であり、特にここ数年の躍進ぶりは目覚ましいものがあります。また、Microsoftは他社が持っていないエンタープライズ(Mode 1)BIを有していることや、Power Platform(下記記事参照)等、”データの入口から出口”まで全てをカバーできていること等、他社には真似できないテクノロジー及び規模を持ち得ていることもプラスに働いていると思われます。

なお、エンタープライズBIとは、企業のIT部門が主導するBIであり、データの取得や変換、BIレポートの構築等、全てがIT部門任せであり、以前はMDX(多次元式)という非常に難解な言語を使用していました。しかしながら、現在はビジネス環境の変化が早く、現場でデータ分析を行うニーズが高まっており、IT部門でしか取り扱うことができない言語(テクノロジー)はもはや時代遅れであり、競合他社(Tableau等)の出現等も重なって、セルフサービスBIとしてExcel Power Pivotの登場からPower BIへと繋がっていったのです。そういう意味で、他社の殆どがセルフサービスBIから登場したのに対して、MicrosoftエンタープライズBIという長年蓄積されたノウハウをセルフサービスBIへ転用できたことも競争優位の1つであると考えています。

まとめ

今回はPower BIの概要について話をしましたが、次回はもう少し具体的に、Power BIが他社と根本的に差別化出来ている要因について見ていきたいと思います。

*1:ビジネスユーザー等が、IT部門のサポートを最小限に自分たちでデータを取得・分析する際に活用するBIのこと

*2:エンタープライズグレードの意思決定支援とビジネス分析に使用される分析データエンジン。別名:Vertipaq