Power BIの差別化要素の1つに、同じMicrosoftの製品やサービスとのシナジー(連携)が挙げられます。例えば、「Excelで分析機能」(下記記事参照)が最も分かりやすい例で、Power BIのモデリング済のデータセット(データモデル)にExcelを繋げてPivotテーブルベースで様々な切り口で分析することが可能となります。
本記事ではExcelで分析以外に、どのようなサービスと連携が可能かについて簡単に紹介をしていきます。
- ツール費用(無料)
- モデリング機能(データモデル、複合モデル)
- ETL機能( Power Queryによるステップ記録機能で完全自動化)
- 「Excelで分析」機能
- 時系列操作関数の扱いやすさ
- 関数言語(Excelから継承した関数の数々)及びクエリ言語
- 計算エンジン(SSAS Tabularモデルをベースとした強力な分析エンジン)
- Microsoftの他のサービスとの連携
- 1つのテクノロジー(BIとしてのExcel)
- SaaS型BIソリューション
Power Platform
まず、Power BIはPower Platformの構成要素の1つであり、データ活用において最後の部分(可視化や分析)を担うものとなります。下記記事はMicrosoftのPower Familyを解説したもので、Power BI及びそれ以外のPowerというキーワードが付くサービスを知ることができます。
Power Platformはビジネスユーザーをターゲットとした、自社でローコード/ノーコード*1ベースのアプリ開発を実現するプラットフォームであり、4つのサービスプロダクトで成り立っています。
- Power BI
- Power Apps
- Power Automate
- Power Virtual Agents
Power BI
Power BIはデータの可視化・分析を行う部分を担っており、本ブログのメイントピックとなっています。Power BIはデータソースに接続して必要なデータを取得し、データを可視化させることに特化したツールであるが、最近ではPower BIの中にPower AppsやPower Automate等のビジュアルを使用することで他のBIツールでは実現できないようなことを可能にしたりしています。
Power Apps
Power AppsはITの専門家でなくとも、個別ニーズに対してビジネスユーザーでもアプリを作成できる機能であり、特徴として
等が挙げられます。Power Appsは例えば経費精算アプリや出勤簿アプリを作ったり、AI機能を活用して商品情報の取得、取得したデータをPower BIが接続しているデータソース(例:データベース)に書き込んでリアルタイムでデータ更新をしたりできるものとなります。
Power Automate
Power Automateは2つあり、1つはクラウドフロー*2、もう1つはRPA*3機能を具備したPower Automate Desktop(略してPAD)があります。前者はトリガー(何かを操作したら別のことが起こること)を経て、Power Automateがクラウド経由で予め設定したワークフローを自動的に行ってくれるもので、例えば以下のように、アンケートを自動集計することができたりします。
- Forms*4でアンケートを作る
- QRコードやURLで不特定多数のユーザーにアンケートに回答してもらう
- 回答するとPower Automateがこれをトリガーとして認識し、データをプッシュしてデータセットを構築する
- 回答した結果はPower BI Service(クラウド上のPower BI)にて、リアルタイムダッシュボードとして自動的に集計されていく(Power BIサービスの「ストーミングデータセット」という機能を使用)
- 集計した結果がリアルタイムダッシュボードに表示されていく(数秒前に回答した人及びそれ以外の人が回答した結果をほぼリアルタイムで確認可能)
可視化が瞬時に出来てしまうため、回答者のウケが非常に良いのが特徴です。使い道として、例えばWebセミナー等で対象オーディエンスの属性(業種、職種、男女比、参加地域、スキルセット、興味がある分野、等)を調べたい時(自分が得たい情報)や、収集して可視化された情報を基に話すコンテンツのレベルを調整したりすることに役立ちます。
もう1つの機能であるPADは、最近Microsoftが無料公開したアプリ版自動化ツール(RPA)であり、業務の自動化やAPI*5を持たないレガシーシステムへのデータ転記、データ抽出等を可能にするものとなります。
Power BIの中にはPower Queryがあるため、データを自動的に取得してくるという意味で必要ないと思われるかもしれませんが、例えばWebにて定期的に更新されているファイルを自動的に取得し、設定されたフォルダに格納(=データベースとしてデータの蓄積を行う)したり、Power Queryがアクセスできないアプリケーションからデータを取得してくる等、ExcelのVBAのように、アプリケーションに限定されることなく、マニュアル作業から解放される可能性が高くなります。
Power Virtual Agent
最後にPower Virtual Agentsですが、こちらはいわゆるBot機能であり、AI機能を活用して自動応答を作ったりすることが可能となります。私の周りでこれを使っている人は殆どいませんが、不特定多数の顧客からの応答に対する負担軽減(特にコールセンター業務がメインの会社等は重宝)等がメリットとなるでしょうか。
その他のツールとの連携
その他のツールとして、現在Microsoftが最も力を入れているのが、Teamsとなります。TeamsはMicrosoftのコラボレーションツールとしてアクティブユーザー数が爆発的に増えており、ビジネス版チャットアプリとしてその地位を確固たるものとしています。
Power BI Desktopで作ったレポートがPower BI Serviceに発行されると、Teams内でこれにアクセスすることができるようになり、Teamsアプリを離れることなく、同じ部署やチーム内でPower BIレポートを素早く共有できるようになります。
同じく、冒頭で話をした通り、Excelからもクラウドサーバーに発行されたPower BIのデータセットにアクセスすることが可能であり、その場合はモデリング済みのデータセットに対して、Excel Pivot形式で分析を行うことが可能となり、通常のPivotでは対応できないあらゆる切り口からデータ分析を行うことが可能になります。