テクテク日記

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Power BIの領域について

Power BIを使う人で、恐らく全ての分野に精通している人はいないと思います。Power BIが誕生した初期ならともかく、現在のPower BIは性能・機能が信じらないほどに拡張しており、他社専用のデータソースへの接続、Microsoftの他のアプリやサービスとの連携、セキュリティ、Azureサービスとのインテグレーション等、考えただけでびっくりするくらい、その領域は広大なものとなっています。そこで今回、SMESubject Matter Expert)というものについて考えてみたいと思います。

SMEとは

SMEは日本語に翻訳すると、内容領域専門家と言われる人です。同じ略語にSmall and Medium-sized Enterprise(中小企業)もありますが、これを意味しているものではありません。SMEはその名の通り、ある分野に対する専門家ですが、Power BIで考えた時、セルフサービスBIとエンタープライズBIでは、SMEのカバー領域が大きく異なってきます。

Power BIに限らず、SMEは例えば企業内であれば何かの分野に精通している人を指し、分かりやすい例で言えば"Excelマスター"や"営業の神様"とか、”業界知識が豊富すぎて歩く辞書みたいな人"とか、あるいは(経理等で何でそんな細かいところまで知っているの?という)”数字の突合せ”が得意な人が社内に1人か2人は存在するはずです。

SMEは別名、その道のプロですので、自分では回答できないような質問があったりした場合、その人に聞くことであっという間に問題解決できたりします。そういう意味で、身近にそのような人がいる場合、親しくしておくことで自分の成長にもつながりますし、いざという時の最強の助っ人となってくれます。

Power BIにおけるSME

Power BIはセルフサービスBIから生まれており、現在は多くのツールと連携が可能なエンタープライズBIへと成長しています。Power BIを活用するための入口として一般的に、Power BI DesktopやExcel等のツールを使いますが、下図の通り、より大きな枠組みで見た場合、MicrosoftのPower Platformの中に含まれていたり、エンタープライズグレードのソリューションを提供するAzure Synapse Analyticsとの連携が重要となってきます。

Power BIで上司のChrisさんに良く言われているのが、

全ての技術に精通している人はいない

という言葉です。それを聞くと少しは安心しますが、と同時に強烈な不安に襲われるのも事実です。そういう意味で、自分の得意分野、すなわち自分がどの領域のSMEであるか、そもそもそのような領域が自分に当てはまるのか、といったことを認識しておくことは重要だと思います。

そこでPower BIの領域について、ご自身がその項目のSMEに当たるかどうかのリストを作成しましたので、Power BIを学ぶ際のヒントにしてみてください。


※ Power BI Desktopの使い方やPower BI Service等、ボタンを確認すれば使用方法が分かる領域は含めない

もう少し分かりやすくするため、セルフサービスBIとして入門された方が学ぶ領域を下図ハイライトしておきました。ここである程度Power BIについて精通している方であればお分かりだと思いますが、程度の差はあれど、1つ1つの領域の中で更なる深淵が待ち構えており、学んでも学んでも一向にゴールが見えない、そういう世界になっているのです。

実はこちらの図(リスト)、Power BI CAT*1チーム内で、CATメンバーとしてのSMEを特定するためのリストであり、これを最初に見たときはさすがに焦りました。知っているという話であればほぼ10割ですが、SMEかどうかと聞かれると、さすがに打率は一気に落ちてしまいます。

エンドユーザーからPower BIを学び始める場合、殆どの人がハイライト部分から入ると思いますが、先に進むほど、得体のしれない世界(良い意味で)が待っている、ということを上図から読み取って頂ければと思います。

とはいえ、今回の記事の目的はやる気を落とすためのものではなく、

Power BIってこんなに領域広かったのか

ということを知って頂くのが狙いです。また、今後何かの時に上記リストを参考に学習して頂くことも可能かと思います。

ちなみに、上記リストざっくり分類をしていますが、本来であればPower BIのペルソナ(ユーザータイプ)別に行うのが正しいかもしれません。すなわち、下図のようにペルソナ別に分類し、上記領域を当てはめていくわけです。ビジネスアナリストにとって重要な領域は恐らくPower BI管理者のそれとは異なるでしょう、といった具合です。

各ペルソナは時間が経つにつれ、異なるロールへと移り変わっていくことが予想されますので、例えば最初は「エンドユーザー」だった人が気づいたら「Power BI開発者」になっていた、といった例も珍しくありません。

  • エンドユーザー(ビジネスユーザー)
    経営層を含むレポートを見て消費する(=洞察を得て次のアクションへ繋げる)層

  • ビジネスアナリスト(データアナリスト)
    Power BIサービスに発行されたデータセットにPower BIやExcelから繋げて、自分で分析を行う層。場合によってはETL(データクレンジング)も行うため、その先のモデリングも行うパワーユーザーが将来的にPower BI開発者になっていく

  • Power BI開発者
    Power BI、DAX / Data Model、外部ツール(DAX Studio、Tabular Editor等)を駆使し、モデリングと指標構築が中心であるが、レポート作成も担当。CI/CDによる自動化、Power BIサービス(クラウドサービス)が提供する機能(データフロー、自動更新、ゲートウェイの設定等)をフル活用

  • Power BI管理者
    Power BIのガバナンス(ワークスペース管理、共有ロジックの徹底、容量管理等)、セキュリティ、コンプライアンス、CoE*2構築等に係るロール。Power BI管理者に関する知識が必要であり、Power BIサービス、Power BI Embedded、Power BI REST API等の知識が必要となる。ITが作るレポートとユーザーが作るレポートをしっかり分類し、CoEの実現に向け、管理されたBI(Managed BI)を目指していく

  • データサイエンティスト
    ETL(データクレンジング)や予測モデルを作り、ビジネスニーズに沿った付加価値を提供する層。統計的知識等が必要とされ、データアナリストの上位互換版(レポート作成ではなく、データ分析に際してのみ)

まとめ

今回はテクニカルな話ではありませんでしたが、Power BIの領域を一歩下がって認識する良い機会となりました。各領域の詳細については検索して頂くとして、これからPower BIを始める人 or 更なる高みを目指す人は

自分との利害関係が高い領域を優先的に習得

してみてはいかがでしょうか。

*1:Power BI Customer Advisory Teamの略で、Power BIの製品チーム所属。顧客エンゲージメントを担当し、顧客の要望や不満をPower BIそのものを開発するエンジニアチームへフィードバックする役割

*2:Center of Excellenceの略。組織を横断する取り組みを継続的に行う際に中核となる部署のこと