アナリストが考えるBI習得法

このブログはMicrosofのテクノロジーを中心に紹介するものですが、それ以外にもBI学習法(自己啓発的なコンテンツ)やデータアナリティクス(分析手法)に関することも紹介していきます。2022年の第一弾はタイトルの通りですが、自分自身の過去の経験を踏まえたものとなります。データアナリストが普段何をやっているのか、BIとどのような関連があるのかについて知りたい方は最後までお読みください。

アナリストのタイプ

アナリストと言っても、世の中には様々なタイプが存在します。例えば以下のようなものとなります。

このうち、私個人的には財務アナリストと在庫アナリスト、(一部)データアナリストを経験しています(昔はウォーレン・バフェットが好きで、証券アナリストになるのが夢だったのですが・・)。

財務アナリスト(FP&A - Financial Planning & Analysisというポジション)は財務分析を通じて、企業のCFO等に財務上の意思決定を遂行してもらうためのポジションとなりますが、トップライン(収益等項目)とボトムライン(経費等、トップライン以外の項目)の2種類があり、前者は収益性の分析、後者は主に経費分析(経費削減等に対する意思決定)のための分析等を行います。

一方で、在庫アナリストはやや特殊な職種で、在庫の担保価値、あるいは、公正市場価値等を算出するためのロールで、過去の実績データを基に将来をシミュレーションするものとなります。在庫アナリストによって算出された在庫の評価額は金融機関に報告資料として提出され、その在庫を持つ対象企業はこの担保価値を基に融資を受けられる、というビジネススキームが組まれます(動産担保融資 -Asset Based Lending)。
また、算出対象が資産のフェア・マーケット・バリュー(公正市場価値)であれば、担保価値というよりゴーイング・コンサーン(事業継続)ベースの価値であり、実態把握や会計目的(例:対象資産の減損)等に使用されます。

在庫アナリス・在庫評価のプロセス
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どちらの場合でも、差異分析(Variance Analysis)が基本であり、収益・経費・資産評価額の結果(なぜ、そのような結果になったか)を分析します。

どちらも数字を使った分析、アナリストによる結果分析、シミュレーションとなりますが、Power BIやExcel Power Pivotを使って、効率よく分析を行うことができることが特徴です。

アナリストは数字分析を専門としており、ビジネスに対する理解が足りないと考えられがちですが、ビジネスについて全く知らないアナリストはそもそもデータ分析を行うこと自体、難しいかもしれません。そういった意味で、ビジネスの最前線で活躍をしている人たちはドメインスキル(そのビジネス領域に対する理解度等)が強く、これらの人がアナリティカル・スキル、テクニカル・スキルを身に着けた場合、最強のフロントエンド・アナリストが誕生することになります。

BIとBA*1

世の中にはデータアナリストという職種が存在しています。この職種はデータサイエンティストという職種に非常に近いものですが、BIツールを駆使してデータ分析からより多くの洞察を得て、ビジネスに役立つ情報を共有するものとなります。広義に言えば、データアナリストの中に財務アナリストや在庫アナリストを含めても良いのではと思いますが、定義について細かく話す場ではないので、ここでは割愛をします。

重要なことは、世の中で言われている”データ分析”と言われるものは、単純にデータを可視化して、その動向・洞察を伝えるものではなく、”データ分析”とはもっと数学的な考え方、つまり、統計的に有意な結果であるかどうかを結果として捉え、ビジネスをより優位に進めていくためのもの、と考えるべきという考え方です。

事実、ここまで話をしてきたのはあくまでも過去データを使ったものであり、本来のビジネス上の意思決定を左右するものではないのは事実です。本当のデータ分析はBA(ビジネス・アナリティクス)という分野であり、もっと分析結果に対して数学的に有意であるかどうか等、統計分析が入ってくるべきである、と唱える人も多いと思います。これに関しては、120%同意であり、実質Power BIだろうがExcel分析であろうが、最終的にはそのような領域にまで足を踏み入れられるとベストであると考えています。

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しかしながら、このような業務に携わる人はそう多くはなく、実質、”数”という世界で見ればBIツールを活用している人はビジネスユーザーが圧倒的に多いと思います。運が良い人は同じ部署でデータ分析に長けている人に教えてもらうことで成長できるかもしれませんが、そのような優秀な人から直接教わることは稀でしょう。

BI、BAという2つの世界において、ここで話をしている内容は、どちらが正しい、どっちかを選択すべきだ、というのではなく、業務によって全く異なるということを理解する必要があります。すなわち、BIは統計的知識をあまり必要としないが、後者はそれに対する理解が必要。あるいは、前者はデータ量が大量にある可能性があり、通常後者で行われている手法では対処できない可能性があるかもしれない等です。

いずれにせよ、自分に必要なスキルを見極めることが重要で、そのスキルを学ぶことが楽しいかどうか、自分の将来にどのようなインパクトを与えるものかを考えるのが一番大事ではないかと思います。

アナリストとして一般的にBIを学ぶ場合、以下のようなスキルが必要になります。

  • データの取得・変換(ETL)スキル(SQLやPower Query等)
  • データモデリング(分析用のデータベース構築)
  • 指標構築スキル(ビジネスに必要なメトリックス(指標)を構築するスキル)
  • レポート作成スキル(レポートデザイン、カラー選択、ストーリーテリング等)
  • ビジネスニーズの把握
  • 財務分析

上記スキルはBIを開発するために必要なスキルですが、特に最初の4つは必須となります。また、ビジネスニーズの把握や財務分析スキルは、ビジネスアナリストとして必要なスキルであり、こちらはテクノロジー以外の部分での経験が必要となります。

一般の人がBIテクノロジーを活用するには

BIの世界は非常に広く、Power BIについていえば、その全て機能や活用法を知っている人は恐らくいないと思います。Power BIはビジネスユーザー向けに開発されたセルフサービスBI(SSBI)*2であり、IT部門しか取り扱えなかったBIを一般ユーザーでも使えるようにしたものです。

誰もがデータにアクセスでき、それを分析して結果を共有する、というのがPower BI(あるいはSSBI)のゴールですが、ここで勘違いしてほしくないのが、如何なる技術・ツールであっても、学習に時間を費やす必要はあり、そのための努力を怠ると最終的に自分に跳ね返ってくることです。

学ぶのが面倒であるという人は、自分の業務のことを思い出してみてください。請求書からのデータをまとめて集計する必要がある人、在庫データを定期的に更新・管理する必要がある人、人事データを正しく更新し従業員のモチベーションを分析する必要がある人、財務データで分析用テンプレートを更新して、毎月、毎週、社内に対して報告する義務がある人、在庫分析を行いクライアントにクオリティの高いレポートを報告する等、全てに共通するのが、集計・更新作業をいかに効率よく実現し、分析結果(アウトプット)を導き出し、それに対する解釈を与えて必要な人と共有することです。

Excelが使える人はBIは必須ではないが、(Excel Power Pivotでも良いが)BIを使えるようになると世界観が変わる

というのがアナリストを15年以上やってきた経験です。

そして、

明日頑張ってみようではなく、今日この瞬間からやってみる

というのが非常に大事であり、他の人よりも先に1つでも多く自分から学んでいく姿勢(RIZAPみたいに結果にコミット)が一番効果的と考えます。

どのようにスタートさせるべきか

分かっているんだけど、どのようにスタートすれば分からない
スタートしてもなかなか続かない

という人は沢山いると思います。特に2番目の”続かない”というのは、ダイエットと同じで継続が一番難しいのは分かります。これに対する答えは多くありますが、私が考えるに、続かない理由は

(テクノロジーそのものに興味がある人でない場合)テクノロジー等、そのものについて学ぶと続かない可能性が高い

です。なぜかというと、これらのテクノロジーを学んでもどのような場合に役立つのかが分からない、学んでいる途中で更に難解な用語(概念)が出てくるから、いろんなところへ飛ばされ、結局何を学びたかったのか思い出せない・・等の理由があるのではないかと思います。

では、どうすれば良いかというと、

自分の業務に直結する形で学ぶ

のがベストプラクティスであると考えています。

具体的には、データを定期的に更新しないといけないケースでは、まずは現在のやり方にどれほどの時間が掛かっているのかを測定し、Power Query等のETL機能を使った場合、どれほど改善されるか、それを1年間に換算してどれほどの時間削減に繋がるのかを試算してみることです。私個人の話になりますが、Power Queryを使った場合、複雑な処理に対して、凡そ80~90%以上の時間削減を実現できることを確認できています。

人間は自分の知らない世界に対しては恐怖を抱くことがあります。その恐怖の代償として、”やってみたけど、結局無駄に時間を使ってしまった”というのが最も多いのではと思いますが、その時間は決して無駄ではないことを認識する必要があります。

例え失敗したとしても、途中まで自分で試してきたことは経験になりますし、失敗を知ることが成功に繋がるのは言うまでもないと思います。最初は時間が掛かって思うように進まないことも多いと思いますが、時間を掛けて一度身に着けたスキルは一生ものになりますので、単なる時間削減としての結果ではなく、将来の自分の仕事の幅を広げるという意味においても価値のある時間であると認識すべきです。

これを繰り返すことで今まで時間が掛かっていたことも短い時間でクリアできるようになるでしょうし、何より軌道に乗ってくると今度は知らない分野に対する興味を持つようになりますので、これが良い相乗効果となって自分を更に高めてくれるきっかけになってくると思います。

重要なのは自分自身との闘いであり、自分が戦うフィールドを今後変更していきたいかどうか、ということになります。

最後に

今回はテクノロジーに関することについては特に言及しませんでしたが、学ぶモチベーションをキープしていくために非常に重要なコンテンツだと考えています。私が良く口にしている言葉の1つに

スキルアップは自己責任

がありますが、結局のところ、他人任せではなく、最終的に自分がどこまでやれるかに掛かっているのです。学習用コンテンツはどこに行けば見つかるのか?という質問を受けることがありますが、

まずは自分の業務コンテンツを分析(見直す)

ことがその先、自分が必要とするスキルを決定すると考えています。なぜなら、業種が違えば、必要なスキルも異なるので、より自分が効率く学習できるようになるため、漠然とコンテンツを探すのではなく、まずはピンポイントで探してみるのが良いと思います。

繰り返しになりますが、業務+スキルの組み合わせでBIテクノロジーを習得していくのがモチベーションをキープしつつ、スキルアップに最も有効であると考えています。

*1:Business Analyticsの略

*2:ビジネスユーザーがIT部門の負担を最小化し、自分たちでデータを抽出・変換し、BIソリューションを実現するBI